24 1 / 2010
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そもそも旭山動物園は日本最北で気候は厳しく、また本州から遠いため人口圏が小さい。赤字続きだから低予算でスター的な動物もいない。白クマ、ペンギン、アザラシ、チンパンジー、ニホンザルなど地味な動物がほとんどだ。もしも全国の動物園が一つのチェーン会社だったら、本社の経営企画部は真っ先に廃止売却を決めるだろう。マーケティングのプロの目から見たら、どう考えても「負け犬」の領分としか見えないからだ。
それが今や入場者数は上野動物園を抜いて、日本一になった。それは数々のアイデアの功績で、その内容は本書に詳しく書いてある。しかし、こうしたアイデアはいつ、どうして生まれたのか。それは、「長い冬の時代」に、“でも、動物園はこうあるべきだ”という『あるべき論』の哲学を従業員全員が練り上げ、あたため続けたことで生まれたのだ。
だから、きびしい逆境の時こそ、知恵と希望を捨ててはいけない、という教訓がここにはある。ひどく守りにくい教訓ではある。だが、哲学をもつ組織には、未来は必ずやってくる。この動物園が見せてくれた一番の展示物は、そうした人間たちの姿なのである。
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