25 10 / 2011
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ジェイン・オースティンの「高慢と偏見(“Pride and Prejudice”)」は、過去に何度も映像化されている。恐らく最新のものは、2005年にイギリスで映画化された「プライドと偏見」であろう。主人 公のエリザベス・ベネットは、強い意志と生命力を感じさせる賢い女性だが、18世紀イギリス上流階級のきちんとした娘でもある。キーラ・ナイトレイは、い たずらっぽく輝く瞳と愛くるしい笑顔で、難しいこの役を魅力的に演じていた。この映画は彼女が出ているだけで見る価値がある。
ところで、セス・グレアム=スミスという人が、2009年4月に“Pride and Prejudice and Zombies”という小説を公表している(邦訳は、安原和見訳「高慢と偏見とゾンビ」二見文庫)。オースティンとの共著になっているが、彼女は19世紀 初めには亡くなっており、この小説は「高慢と偏見」にグレアム=スミスが手を入れたものである。
18世紀末、ベネット5姉妹が暮らしているイギリスの田舎町ロングホーンに資産家のビングリーが越してきて、その友人ダーシーが訪問してくる。次 女エリザベスは、ダーシーの高慢な態度にはじめ憤慨していたが、次第に引かれ合うようになっていく。基本ストーリーはそのままに、謎の疫病によって死者が 生ける屍となり人々を襲っているという設定を、無理矢理はめ込んでいる。ベネット姉妹は、ゾンビを倒すために少林拳を修行しており、随所で唐突に大暴れす る。いわゆるマッシュアップ小説とよばれるものだ。
どう考えてもばかばかしい話だが、読んでみると結構面白い。出版直後からものすごい勢いで売れ、ニューヨークタイムズのベストセラーにも選ばれて、100万部を超える大ヒットになっている。
本書は、オースティンの格調高い文章を8割以上そのまま使っている。確かに、既に著作権は切れており、法的には問題がない。しかし、訳者もあとがきで書いているように、こんなことを本当にしてもよいのかと疑問に思う人はいるであろう。
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